2009年3月2日から13日までニューヨークの国連本部で行われた、第53回国連女性の地位委員会(CSW)に3月5日までの日程で参加しました。今年の優先テーマは「HIV/AIDSのケア提供を含む男女間の平等な責任分担」でした。
NGOの登録と大雪の中のNGOコンサルテーション
まずは2月28日午後、国連ビルでNGOの登録を行いました。長い行列に並ぶこともなく、スムーズに登録証をもらうことができました。翌3月1日は大雪で20cmほども積もりましたが、朝8時から終日、ニューヨーク大学医学部の構内で行われたNGOコンサルテーションに参加しました。ニューヨークにあるNGOネットワークの人たちが、会期中の政府間会議と、それに並行して行われるパラレル・イベントの動きの両方を、冊子を配って説明してくれました。
CSW開会セッション、各国代表スピーチなど
開会セッションは、NGO席もぎっしりと詰まり、それでも足りずに別室が用意されました。議長団がまず、多くの政治家や大臣などハイレベルの人びとの参加を得られたこと、そしてNGO に対しても、多くの参加を得た上、この委員会のサポーターとして有益なコメントを提出したことへの感謝を述べました。続けて、今回のテーマは私的・インフォーマル領域と深く関わり、女性のアンペイドワーク問題や家族・コミュニティにおける女性と男性の役割分担の問題でもあること、そしてHIV/AIDSのケアについては、これらの問題が最も凝縮されていることを、次々に説明しました。
ケアの平等な負担については、まずそれぞれの文化社会の価値観が極めて強く関連していると認識すること、また、ケアにおける負担や重荷を取り除くことの重要性を喚起しました。さらに、女性の就業が増えている今日、ケア責任の平等な分かち合いが必須であり、とりわけ、現代の世界的な経済危機の状況下で、こうしたテーマに関して、課題解決の目標が遅延させられることがないよう、十分注意すべきであることも指摘され、全く同感でした。国連事務局経済社会問題局の沙(シャ)事務局次長の「私の家庭では妻と平等にシェアをしているが、一般にそれが進まないのは、政治の関心が十分でないからだ」との発言には、政府代表団席からもNGO席からも大きな笑いと拍手が送られました。欧州連合(EU)代表からは、ワーク・ライフ・バランスや子育ての協働、社会的責任などについての問題が提起されました。
サイドイベントでのKFAW発表
サイドイベントの様子 |
日本女性監視機構(JAWW)の原ひろ子会長たちのご尽力で、国連ビル内で政府代表団とNGOによる「日本および国際共同体におけるジェンダー平等とケア」というサイドイベントが行われました。足木公使、武川内閣府大臣官房審議官の挨拶の後、大学女性協会、独立行政法人国際協力機構(JICA)、高齢社会をよくする女性の会、国境なき医師団といった団体からそれぞれ発表があり、私もKFAWを代表して「東アジアにおけるケアネットワークの必要性」のテーマで意見発表を行いました。50人を予定していた会場には80人近い参加者が詰めかけ、質疑応答も活発に行われて非常に盛会でした。このほか、キルギスタン、韓国、ユダヤ女性のワークショップや、北京+15コーカスなどに参加しました。
今後の動き
来年は、北京会議後15周年に当たります。国連では特別な女性会議などは開催しないが、CSWではきちんとした評価と展望を示すと言明されています。また、来年のCSW開催の前にニューヨークでNGOのフォーラムを行うこと、またそれに先立って、アジア太平洋地域として10月にフィリピンでNGOの集まりを行うことが決定しています。