1.日時 | 2016年8月4日(木) 15:30~17:00 |
2.場所 | 北九州市立男女共同参画センター・ムーブ 5階小セミナールーム |
3.講師 | グェン・フォン・ホン(在福岡ベトナム総領事館総領事) |
4.参加者 | 56名 |
在福岡領事館の領事による講演会「KFAW領事館シリーズ」の第8弾として、在福岡ベトナム総領事館のグェン・フォン・ホン総領事から、ベトナムの概要・ベトナム人女性事情についてお話していただきました。
講演の前半では、ベトナムの概要について説明がありました。日本と同様に南北に細長い地形をしていること、平均年齢が29歳の国であること、54の民族と仏教を中心に主に4つの宗教が混ざり合った多様性のある国であることなどの紹介がありました。また、ハノイ市の歴史的建造物や世界遺産のハロン湾、カンビン省のソンドン洞窟などの美しい写真を紹介し、会場を魅了しました。
講演の後半では、ベトナム人女性の活躍について労働・教育・政治・経済の4つの視点からお話いただきました。
①労働
べ トナム人女性の労働参画率は145カ国中21位と世界的に見ても高いと言えます。全国の総労働力のうち女性の割合は48.3%で、非正規雇用が多いものの、女性の73.5%は労働に参画しています(男性の労働参画率は82.5%)。多くのベトナム人女性は農業分野に従事しており、農業以外では女性の53%が自営業または無給の家事に従事していますが、日本人の女性と同様、多くのベトナム人女性が子育てや家事をしながら仕事をしています。
②教育
就学率を見ると、男女の小学校就学率はそれぞれ9割、中学校就学率は8割となっています。成長が進むにつれて就学率が下がる背景に、勉強をせずに仕事をする子どもがいることが挙げられます。学費が払えない、山地では学校が遠くて行けないという理由があるため、政府は特に山地に住む少数民族の子どもたちに対して援助をおこなっています。また、ベトナム人女性の教育レベルとして、大学卒業率のうち36%が女性で、大学を卒業するのは主にまだ男性であるものの、教育や医療などの女性の割合が38.6%と比較的高い学術分野もあります。
③政治
国連においてベトナムは「女性が自国の政治活動に参加する率が世界で最も高い」と素晴らしい評価をされています。政府の大臣・局長レベルにおいては、男性の割合が高いものの、現在、ベトナムの国会女性議員は全体の26.8%と高い割合を占めています。世界の女性議員の平均割合が18.5%であることからも、ベトナムの国会女性議員率は高いと言えます。2016年5月の国会選挙では、ベトナムで初めて女性の国会議長が誕生しました。副国家主席も女性であることからも分かるように、ベトナム人女性は、国内だけでなく国際的にも活躍しています。さらに、政府の大臣・在国連大使・県知事・市議会議長など、重要なポストに就いているベトナム人女性も多く、政治に積極的に参加しています。
④経済
ベトナム人女性は積極的に活躍をしています。企業内における女性管理職の割合は23%、また女性が社長である会社は29.5%です。そのうち小企業における女性社長の割合は98.8%で、サービス業の割合は61.4%となっています。
講演の終盤では、ベトナム人女性に関する課題とその対策について説明がありました。課題は5つあり、新生児に対する母親の死亡率・女性と子どもの売春問題・児童婚と近親婚・女性に対する暴力・離婚率の増加が挙げられました。しかしベトナムには、これらの課題を解決するための様々な政策があります。「女性の社会活躍のための国家行動プログラム」、「男女平等の国家戦略」などの国家レベルだけでなく、「ベトナム農村部地域における過程暴力の減少」、「少数民族地域における児童婚および近親婚の減少」など地域レベルにおける政策も策定・実施されています。また、市民レベルにおいても「ベトナム女性連合」という女性団体に150万人が参加し、女性の権利を守ることを目指し積極的に活動しています。
講演後の質疑応答の時間においても、会場の皆様に最後まで熱心にご参加いただきました。