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国際理解促進事業

ワールドリポート「東アジアの若者はいま―日本のマンガ文化を中心に」を開催(2012年1月28日)

 2012年1月28日(土)に北九州市立男女共同参画センター・ムーブにて、ワールドリポート「東アジアの若者はいま―日本のマンガ文化を中心に」を開催しました。100名近い方々にご参加いただき、中でも、参加者の3割が男性、6割以上が40歳代以下と、男性と若者の参加率が高かったのが印象的でした。

 

 今回のセミナーでは、近年、海外に広く流行している日本のマンガ文化を取り上げ、マンガ/MANGAに描かれているジェンダー表現について理解を深めるとともに、日本のマンガが海外でどのように受容されているかを、参加者の皆さまと一緒に考えました。

 

 前半のセッションでは、まず基調報告としてコーディネーターの大城房美先生(筑紫女学園大学教授)より、日本のマンガがどのように発展し海外への越境に至ったのかを報告していただきました。中でも少女マンガのスタイルには大きな特徴があり、1950年代に流行した大きな目、長い手足、きらびやかなファッション、無国籍(黒い髪に青い目)的表現のキャラクターたちは、時代とともに衰退するどころか「かわいい/KAWAII」という表現とともにポジティブに国境を越えているようです。


 続いて、日本のマンガが海外でどのように流行していったのかを、キムヒョジン先生(韓国・高麗大学助教授)トゥ・ミンフン先生(台湾・淡江大学助教授)に紹介してもらいました。日本マンガが各国に与えた影響をはじめ、BLマンガ(ボーイズラブ、男性同士の同性愛を題材にした、女性向けマンガ)やコスプレ文化の流行など、台湾、韓国ともに共通する部分が多くあり、とても興味深い内容でした。
 最後に、シンガポール人マンガ家のFSc(フー・スイチン)さんに、マンガを制作する立場から、女性キャラクターと男性キャラクターの描き分けや、日本マンガとアメリカンコミックスとの特徴的な違いなどを、実演を交えながら発表してもらいました。


 後半のディスカッションでは、質問者として草野良枝さん(北九州市立大学学生)と、中川佳彦さん(九州工業大学大学院生)にも参加していただき、若者の視点から、マンガ文化とジェンダー意識の変化などについて意見交換しました。参加者からは、「これまではあまり意識せずにマンガを読んでいたので、少女マンガにこんな歴史があったとは知らなかった」「日本のマンガが海外に与えている影響の大きさに驚かされました」「次回もぜひマンガ(ポップカルチャー)をテーマにしたセミナーを開催してほしい」といった感想をいただきました。日本のマンガ文化とそこに描かれているジェンダー表現について、改めて見つめなおす良い機会になったのではないでしょうか。

 

◆プログラム

13:30 開会
13:35 基調報告
「日本のマンガ文化と海外への越境現象~少女マンガを中心として」
  大城房美 筑紫女学園大学文学部教授
13:55 報告
「日本のマンガ文化と私の国のマンガ文化」
  キム・ヒョジン 韓国・高麗大学助教授
  トゥ・ミンフン 台湾・淡江大学助教授
  FSc(エフ・エス・シー) シンガポール人マンガ家
14:50 質疑応答/意見交換
「各国マンガ/MANGAに描かれるジェンダー表現」
15:40 閉会

 

◆当日配布資料は以下からダウンロードできます