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国際研修

行政官のためのジェンダー主流化政策2017(第1回)を実施(2017年5月31日~6月30日)

KFAWは、独立行政法人国際協力機構九州国際センター(JICA九州)の委託を受け、毎年2回、開発途上国のジェンダー主流化を担当する中央政府及び地方政府の行政官を対象にした研修を実施しています。


2017年度は、5月31日(水)から6月30日(金)まで、ブータン、フィジー、ガーナ、コソボ、ラオス、ミャンマー、パレスチナの7カ国8名の行政官を対象に第1回の研修を行いました。


研修は、「講義」、「ワークショップ」、「視察」、「発表」で構成され、ジェンダー主流化のための概念、手法、理論などを包括的に学ぶプログラムで構成されています。


約1ヶ月の研修期間には、北九州市民との交流を通じて、異文化に対する理解を深め、ジェンダー問題について共有する「市民交流会」の時間があり、研修員が北九州市立大学を訪問し、大学生と交流しました。


まず、研修員は同大学の二宮副学長から招待を受け、茶道体験をし、抹茶を味わいました。次に、松尾学長を訪問し、地域への貢献、国際交流および環境分野の研究推進といった同大学の特色について説明を受けました。研修員からは、キャンパスの特徴や留学生数などについて活発な質問がありました。


その後、研修員は、大学生とのディスカッションに参加しました。


初めに、大学生が小中学校で体験した男女の違いや、大学に入って一人暮らしや自炊をしてみた感想、自分自身の将来などについて、ジェンダーの視点を交えたスピーチを行いました。男性漫画を読んでいて、周りの人から「なぜ男性漫画を読むのか?」と聞かれ、自分は他の女子と違うのかと考えた女子学生の体験や、中学生の時に女子は野球部に入部できなかったことなどが語られました。また、最近の日本の、男性保育士に女児の着替えや排せつを手伝わせたくないという保護者の意見をめぐり、活発なディスカッションが行われました。


さらには、大学に入って一人暮らしを始め、自炊をするようになった大学生たちが、栄養のバランスを考えながら食事を作ることの大変さや親のありがたみを知り、感謝の気持ちをスピーチしました。これに対してコソボの研修員からは、「自分には男女それぞれ子どもがいるが、自分自身も娘にだけ家事の手伝いをお願いしていた。子どもには将来自立して家庭を持っても、男女関係なく自炊できるようにならなくてはならない」といった感想が語られました。また、自分たちは勉強の合間にアルバイトをしているというスピーチに対して、ブータンの研修員は、「ブータンでは、学生時代にアルバイトをすることはほとんどない。
就職して初めて社会を経験するので、日本の学生の方がアルバイトなどを通じ早く社会経験を身につけることができている」とのコメントがありました。


研修員たちにとって日本の大学生との交流を通じて自分自身を振り返るとともに、日本と自国の文化や社会の違いを感じることができた大変有意義な市民交流会となりました。


このほか、研修では、広島平和記念資料館訪問、北九州市内の保育園、小学校、農業施設や農家などを視察しました。

 

約1ヶ月間の研修で、日本を含め各国の制度や事情が異なるなか、研修員はお互いの国を尊重し、理解し合える関係を築くことができました。研修の最後には、自国でジェンダー主流化政策に取り組むための行動計画の発表会が行われ、研修の成果を今後の業務や活動に生かしていきたいと抱負を語っていました。

 

北九州市立大学生とのディスカッション