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スタディツアー

KFAWスタディーツアー「フィリピンで学ぶ国際協力2014」(2015年2月23日~3月4日)

1.期間 2015年2月23日(日)~3月4日(水)
2.場所 フィリピン(マニラ首都圏、オロンガポ市、サンバレス州)
3.プログラム 2月23日(月)   福岡発マニラへ
2月24日(火)  プレダ基金訪問
2月25日(水)  少年の家、アエタ族MAO村訪問
2月26日(木)  MAO族でのエコ・ツーリズム
2月27日(金)  少女の家訪問
2月28日(土)  DAWN、チャイルドホープ訪問
3月1日(日)    スラム街訪問
3月2日(月)    フェアトレード団体、小学校訪問
3月3日(火)   ミリアム大学訪問
3月4日(水)   マニラ発福岡へ
4.参加者 7名

   2015年2月23日(月)から3月4日(水)にかけて、スタディツアー「フィリピンで学ぶ国際協力2014」を実施しました。このスタディツアーは、女性や子どもたちの支援施設、先住民族の村でのホームステイ、フェアトレード団体やスラム街などを訪問し、フィリピンにおける貧困やジェンダーの問題、国際協力について学ぶものです。一般市民から広く参加者を募集し、今回は7名の方にご参加いただきました。主な訪問先での活動を報告します。


出発、プレダ基金訪問

  福岡空港を出発し、 約3時間45分の飛行でマニラに到着。虐待や刑務所への不当収容、商業的搾取等の被害にあった子どもたちを保護するプレダ基金を訪問し、代表者のカレン・シェイ神父からオリエンテーションを受けました。さらに、プレダ基金が運営する「少年の家」を見学し、子どもたちと交流しました。


アエタ族MAOコミュニティ訪問

フェアトレードについてのオリエンテーションの様子  フィリピンの先住民アエタ族のMAOコミュニティを訪問。アエタ族は、農業を営みながら、山で食料を集めて生活する「森の民」で、現在305家族が生活しています。車に揺られながら2時間ほどかけて到着すると、村長のサルバドール・ディマイン氏からMAOの歴史と現状について説明していただきました。
  この日は5つのグループに分かれて、村にホームステイしました。翌日は村長と村の人たちの案内で往復約5時間のエコ・ツーリズムです。村長宅をスタートし、森を歩いて川の上流にある池までのコースを往復します。村長からは火傷や切り傷に効く薬草、食用の果実について、ひとつひとつ丁寧に説明していただきました。MAOの人たちの自然に対する畏敬の念や、薬草や食用植物の知識、環境保全活動などを垣間見ることができました。
  村に戻って、子どもたちへの給食ボランティアを実施。市場で購入

した大量の鶏肉と米、野菜を使って約200人分のおかゆを作りました。村のお母さんたちが村長宅のかまどで調理し、日本人メンバー全員で取り分けて子どもたちに配りました。夜の交流会では、村の皆さんにツアー参加者から感謝の言葉を述べて、皆で歌を歌いました。満天の星空の元、MAOの人たちとの素敵な交流ができたと思います。

 

DAWN訪問

 MAOからマニラ市に戻り、日比国際児とその母親を支援するDAWN(Development Action for Woman Network)を訪問しました。最近は日比国際児だけではなく、その他フィリピン人移民への支援も幅広く行っています。DAWN では、フィリピン人女性たちが自分たちの仕事を持って収入を得られるように、裁縫や手織り、布の染色等の技術を訓練する「Sikhayプログラム」を実施しています。事務所内には織機が設置されており、手織りのSikhay製品が作られていました。また、ユニークな活動として、日本での「テアトルあけぼの」という演劇活動も行っています。

 


チャイルドホープ訪問

フェアトレードについてのオリエンテーションの様子 路上生活児童の支援を行うチャイルドホープを訪問。家の無い子どもたちのために実施している「ストリートエデュケーション」と呼ばれる路上での教育活動を見学しました。10数名の子どもたちが、路上の一角で真剣に授業を聞いています。授業中、自分の身の上を語りながら泣き出す子どもがいましたが、周りの子どもたちが肩を抱いて慰めていたのが印象的でした。路上生活をしながらも、支援を受けて大学に進学した子どももいるそうです。

 

ナボタス市のスラム街

  マニラ首都圏にあるナボタス市のスラム街を訪問し、清掃ボランティアに参加しました。スラム街というと、もっと荒んだイメージを持っていたのですが、広場のバスケットコートでは子どもたちが元気に遊んでおり、街の中には食料品店や雑貨店があります。下水処理等の衛生状況はあまり良くありませんが、想像以上に活気がある雰囲気に驚かされました。

 

フェアトレード生産者団体「MANOMANO」訪問

 フィリピンでフェアトレード活動を行うMANOMANOは、1966年に教会のシスター、ジュリアン・マリア氏によって設立されました。スタッフの多くは女性で「小規模生産者の自立を目指し、知識やスキルを共有し、自立したコミュニティを作る」ことを目指しています。通常、3年から5年かけて小規模生産者の支援を行っており、今まで25ヶ所の生産者コミュニティを支援してきたそうです。
  生産者・職人とのパートナーシップに基づく事業を行っており、パートナーから製品を買い取る場合は、最初に前金として半額渡して、これがパートナーにとっては原材料購入費となっています。さらに、パートナーに対して技術訓練等を実施することで、長期の信頼関係を築いています。

 

ミリアム大学のジェンダー女性学研究所(WAGI)訪問

 最終日には、ユネスコのジェンダー活動拠点校に指定されているミリアム大学のジェンダー女性学研究所(WAGI)を訪問。フィリピンにおけるジェンダーの現状について、WAGI所長のオイ教授から講義していただきました。
  質疑応答の時間、オイ教授に「フィリピンはジェンダーギャップ指数のランキングがアジア第1位です。このことをどう思われますか?」と質問したところ、「個人的には、ジェンダーギャップ指数は4つの評価指標しかなく、あまり正確とはいえないと思う。現在、フィリピンの世界ランキングは9位だが、実質的には40位~50位くらいが妥当ではないか」とのことでした。また「教育に関してフィリピンは進んでいると思う。フィリピンではまだ貧しい家庭が多く、子どもに土地やお金は残せないが、子どもに教育だけは受けさせたいと思っている。これは制度的な保障というより、文化的な側面の方が大きい」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 

参加者からの意見・感想

  • 普通のツアーでは絶対に行けないMAOでのホームステイなど貴重な体験ができた。
  • 現地の人とのコミュニケーションの機会が多く、一生の財産となった。
  • 貧困が子どもたちに与える影響は深刻だと感じた。
  • 先住民族やスラム街の子どもたちとの交流は大変有意義だった。
  • 衣食住のありがたさや、学校に行けることの素晴らしさを痛感した。

 

報告書は以下からご覧になれます。