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第60回 国連女性の地位委員会(CSW60)帰国報告会(2016年5月19日)

1.日時 2016年5月19日(木) 18:30~20:00
2.場所 北九州市立男女共同参画センター・ムーブ 5階
小セミナールーム
3.プログラム 1. 「CSW60について」
堀内光子(KFAW理事長)
2. 「国連 女性の地位委員会 ~過去の私から未来の私へ、過去の日本から未来の日本へ~」
村嶋祐佳(BPW・CSW60インターン派遣生)
4. 参加者 35名

   (公財)アジア女性交流・研究フォーラムは、国連経済社会理事会(ECOSOC)より与えられた協議資格に基づき、毎年、国連女性の地位委員会(CSW=Commission on the Status of Women)に参加しています。第60回目の開催となる今年は、当財団の参加資格により理事長の堀内光子他10名が参加しました。


CSW60について

Seminar_20160519-1.JPG   今回の報告会では、まず理事長の堀内から国連女性の地位委員会(CSW)についての説明がありました。CSWは、国連経済社会理事会ECOSOCの下部機構に位置する機能委員会の1つで、国連におけるジェンダー平等政策を策定・推進する実質的な中心的機関です。


   CSW60は、3月14日から24日の10日間開催され、参加者はのべ8,100人でした。会議と並行して行われた政府・国連機関主(共)催のサイドイベントは220、NGO団体主催のパラレルイベントは450を超えるなど、CSW至上最大のイベント規模となりました。また、CSW至上初の試みとして、CSW60ユースフォーラムが会議に先立って行われ、世界各国から300人以上の若者が参加しました。


Seminar_20160519-2.JPG   続いて、CSW60の優先テーマである「女性のエンパワーメントと持続可能な開発(SDGs)とのリンク(関連性)」についての解説がありました。本会議では優先テーマに沿って、一般討論、官僚会合、閣僚対話、パネルディスカッション、レビューテーマに関するスピーチ等が行われました。閣僚会合のうち閣僚円卓会議では、①「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国の組織・制度の強化」、②「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための規範・法・政策枠組みの強化」、③「持続可能な開発のための2030アジェンダにおけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための資金」、④「ジェンダー対応データデザイン・収集・分析及び知識ベースの発展」について討議されました。


   CSW60の成果として、以下の合意結論・決議が採択されました。


●合意結論

①「規範、法律及び政策枠組みの強化」

②「ジェンダー平等、女性・女児のエンパワーメントに資金供与を可能にする環境の醸成」

③「持続可能なすべての領域での女性のリーダーシップ及び女性の意志決定への完全・平等な参加についての強化」

④「財政を含めた国の組織・制度改善」

●決議

①「今後3年間分のCSWのテーマ」

②「パレスチナ女性の状況及びその支援」

③「紛争下における女性及び子どもの人質解放」

④「女性・女児とHIV/エイズ」


   従来のMDGs(ミレニアム開発目標)と比べて、2015年9月25日に国連総会で採決されたSDGs(持続可能な開発目標)は、人権の重要性、多分野・マルチステークホルダーが協調した包括的・統合的な取り組みが強調されています。また、政策策定・実施における客観的証拠・データの整備の必要性も認識されています。


   さらに、今年から始まったSDGsの実施を進めるために各国の実施体制を整備することがCSWに関連する国連の重要課題であると考えます。


国連 女性の地位委員会 ~過去の私から未来の私へ、過去の日本から未来の日本へ~

   続いて、日本BPWのインターン派遣生としてCSW60に参加した福岡女子大学の村嶋祐佳氏より、CSW60の感想について発表がありました。


   CSW60に参加したきっかけは、1冊の本「後に続く女性たちへ」(福岡女子大学名誉教授 秋枝蕭子著)との出会いでした。「男女ともに家庭の責任と社会の責任両方を負うべき」という文章を読み、自分自身が日本の典型的なジェンダー規範(男性は外で働き、女性は家事をすること)やその先入観を知らず知らずのうちに抱いていたことに気付き、参加を決心しました。


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   村嶋さんにとって、CSW60に参加して特に印象に残ったイベントが2つありました。1つ目は台湾の学生が主催していたドキュメンタリービデオ&ワールドカフェの「Breaking Stereotype: Young Women Leadership in Taiwan」というイベントです。熱意溢れる台湾の学生たちと「ステレオタイプをなくしていくために出来ること」を話し合うなかで、「上の世代が下の世代に知識や経験を伝える」という意見が出て、「CSW60での経験を日本に持ち帰り、多くの人に伝えることが大切」だと気付きました。2つ目は、様々な国でリーダーシップをとっている女性たちがパネルディスカッションをする「 Thinking beyond the Possible: Inspiring Future Female World Leaders」というイベントです。「ロールモデルより、リアルモデルを」という発表者の言葉を聞いて、手の届かないような理想像よりも、例えば大学の先生や友人などもっと身近に活躍していて親しみやすい女性のリアルモデルが増えることで、女性の活躍の動きが広がるのではないかと感じました。


   イベントに参加した感想として、Gender Equality(ジェンダー平等)の分野に関して日本は「後進国」であること、女性のエンパワーメントには女性が労働市場に参入していくことが必要不可欠であること、日本のジェンダーギャップ指数は世界ランキングで145か国中101位という低さであること、これからは日本のジェンダー平等を進めていくために若い世代の活躍が期待されることなどを多くのことを感じました。CSW60に参加する前に自ら立てた「人々を古い常識から解放し、本当に女性が輝ける社会を実現するために、私にできることを見つけて日本に持ち帰る」という目標のもと、帰国後はジェンダー平等推進のために様々な活動に関わっています。福岡女子大学の開学式典でスピーチ、Cosmopolitans Seminar「今日からあなたも国際人」で2時間の報告会、大学の「女性リーダー育成論」で1コマ講義をするなどに加え、福岡にあるLogista株式会社にて長期インターンシップも始め、リアルモデルインタビューの取材執筆し、ワークライフバランスを目指す学生を応援できるようなイベントの企画・運営にも挑戦しています。男女ともに家庭も仕事も大切にできる社会を実現するために、村嶋さんの挑戦はこれからも続きます。


   日本が1956年12月18日に国連に加盟して今年で60周年になりました。また、今年2016年はSDGsが始まった元年です。KFAWとしても、国内および国際社会で協調し、ジェンダー平等の実現に貢献できるよう、今後とも多くのセミナー開催や情報発信をとおしてアジア地域のジェンダー平等促進に努めてまいります。