異国の地で生活する人にとって、自らのアイデンティティーを保持しながら、移り住んだ土地の文化に適応していくことは非常に重要な問題です。もし異なる社会の中で生活することになった場合、移住者にはどのような影響が及ぶのでしょうか。もし慣れ親しんだ「食」を身近に得ることができないとしたら、どうなるのでしょうか。このような問題について議論するために、韓国・忠清南道女性政策開発院との共催でセミナーを開催しました。
1.日時 | 2008年11月15日(土)15:00~17:00 |
2.場所 | 北九州市立男女共同参画センター・ムーブ |
3.テーマ | 「日本と韓国における移住女性の現在―その文化的葛藤と健康問題」 |
4.主催 | (財)アジア女性交流・研究フォーラム(KFAW) 忠清南道女性政策開発院(CWPDI) |
コーディネーター | ジョ・ジョンナム(高麗大学政治国際関係学科教授) |
発表者 | キム・ヨンジュ(忠清南道女性政策開発院研究員) 「女性移住者の文化的葛藤と健康問題」 |
平野裕子(九州大学大学院医学研究員准教授) 「在日コリアン高齢者の健康問題」 | |
コメンテーター | 山下ゆかり(グローバルライフサポートセンター代表) |
ムン・キョンヒ(忠清南道女性政策開発院研究員) |
移住先およびその国の文化に適応するにあたって起こる問題は、食事を作る・食べるという側面にも表れます。国際結婚で韓国にやってきた女性は、韓国料理を受容するだけでなく、そこに母国の食材を取り入れたり、母国の調理法で料理を作ったりすることで韓国の食文化に適応してきました。また、時には同郷の人びとと集まって母国の料理を一緒に食べたり、母国の食材を融通しあったりといったネットワークを構築することも行ってきました。
この同郷の人びととのネットワークは、異文化の中で生活する移住者にとって、お互いに情報交換するだけでなく、励ましあうことができるという点から、肉体的、精神的な健康を維持する上でも大変重要だそうです。
今回のセミナーは、多文化共生社会に対する認識を深め、共生する共同体をつくるためのあり方を模索する議論と考察の場として、非常に意義深いものとなりました。