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KFAWとSDGs

目次

1 SDGs(持続可能な開発目標)とは
2 SDGs 目標5:ジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメント
3 わたしたちKFAWの取り組み
4 理事長コラム
5 日本政府・北九州市の取り組み(参考)

SDGs

出所:国際連合広報センター

1 SDGs(持続可能な開発目標)とは

 SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」のことで、2016年から2030年までの地球規模の目標です。「誰一人取り残さない」という理念が掲げられ、すべての国、すべてのステークホルダー(利害関係者)によるパートナーシップのもとで、この目標を実行すると宣言されています。また、世界を持続的かつ強くしなやか(レジリエント)なものに移行するために大胆かつ変革的な手段を取ることも強調されています。

 SDGsは17の目標と、169のターゲットから構成されています。SDGsは開発途上国のみならず、先進国自身が取り組む普遍的なものです。

 

2 SDGs 目標5:ジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメント

 SDGs 目標5は、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」です。「ジェンダー平等」は、男女が同じ権利、機会や尊厳を享受することであり、基本的人権の一つです。また「エンパワーメント」とは、女性と女児が自分で人生を切り拓いていくために必要な力をつけることです。平和で豊か、かつ持続可能な世界をつくるために「ジェンダー平等」と「エンパワーメント」は欠かせないのです。

 2019年12月17日に世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」ランキング最新版が発表されました。日本の順位は、昨年よりも11位順位を下げ、過去最低で、かつ先進国最低の153か国中121位です。

 「ジェンダーギャップ指数」は、経済、教育、政治、保健の分野で、どれだけ男女間の格差があるかを示す指標で、上位を独占するのはアイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンなどの北欧の国々です。

 世界では政治への女性参加が進んでいるにもかかわらず、日本は依然として女性議員が少ないこと、男女間で賃金格差が大きいこと、管理職になる女性が少ないことなどが大きく影響し、極めて低い順位となっています。ジェンダーの平等は、SDGsを達成するために、日本にとって待ったなしの本気で取り組まなければならない問題です。

 アジアの国々に目を向けると、教育を受けられなかったり、児童婚の割合が高かったり、暴力を受けたり、仕事に就けなかったりと、女性であるという理由で、また習慣や文化による根強い固定観念に縛られ、人生の選択肢が限られてしまうという現実があります。

 ジェンダー平等は目標5だけで完結する課題ではなく、目標1(貧困)や目標4(教育)、目標8(経済成長と雇用)、目標10(格差)、目標13(気候変動)などの他の目標もジェンダー平等なしには実現できません。多くの分野で横断的に取り組まなければならない重要テーマです。

 

3 わたしたちKFAWの取り組み

 アジア女性交流・研究フォーラム(KFAW)は1990年に設立されました。日本とアジアの女性が直面する課題の調査・研究、アジアと北九州市民の相互理解の促進、開発途上国の行政官の育成など、ジェンダーの視点に立った活動を続けてまもなく30年になります。

 わたしたちKFAWは、アジア地域の人々と課題や取り組みを共有しながら、性別に関係なく、誰もが平等に参加できる社会をつくるために、SDGsでのジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメントを目指します。また、誰一人取り残さない社会の形成のために、SDGsの17すべての目標に目標5の視点が組み込まれるよう取り組んでいきます。

※KFAWは現在、北九州市立男女共同参画センター・ムーブ、北九州市立東部勤労婦人センター(レディスもじ)及び北九州市立西部勤労婦人センター(レディスやはた)の指定管理を行っており、連携を図りながら事業を実施しています。(レディスもじ、レディスやはたは、2020年度末で廃止されました)

 わたしたちKFAWは、次の4つを重点項目と定め、令和2年度の事業を行っていきます。

① ジェンダー主流化
② 就業に関する女性のエンパワーメント(能力構築)
③ 固定的な男女の役割分担意識の解消
④ 若い世代への男女共同参画意識の啓発

① ジェンダー主流化

ジェンダー主流化とは、すべての開発政策、施策、及び事業の計画、実施、モニタリング、評価の各段階で、ジェンダー視点に立った上で開発課題やニーズ、インパクトを明確にしていくプロセスのことであり、ジェンダー平等を達成するために必要な手段であると認識されています。
なお、ジェンダー平等とは、男性と女性が同じになることを目指すものではなく、性別にかかわらず人生や生活において、さまざまな機会が平等に与えられ、自己実現の機会を得られるような社会の実現を目指すことを指します。また、ジェンダー(平等の)視点とは、「男女の固定的役割分担や力関係が社会的に作られたものであることを意識していこうとする視点」のことです。

出典:JICA事業におけるジェンダー主流化のための手引き

 

【KFAW】
開発途上国におけるジェンダーの視点を取り入れた政策の立案、推進が可能な行政官の育成を目的に、独立行政法人国際協力機構(JICA)九州センターの委託を受け、国際研修「行政官のためのジェンダー主流化政策2020」を2回実施します。

 

② 就業に関する女性のエンパワーメント

【ムーブ・レディスもじ・レディスやはた】
[女性の就業支援(女性のキャリアアップ・就業継続・再就職支援等)の充実]
企業で働く女性のキャリアアップを支援する講座、スキルの向上や心身ともに健康に働き続けるために必要な知識の習得、夫婦が共に働きながら安心して子育てできる協力体制づくりなどを目的として講座を充実させ、女性の能力開発や経済的自立に向けたチャレンジや就業継続を積極的にサポートします。(レディスもじ、レディスやはたは、2020年度末で廃止されました)

主な講座

  • 働く女性のためのステップアップ講座
    2020年度は通算第10期目となる受講生を募集します。受講生のスキルやモチベーションアップの効果に加え、第1期から9期生まで200名を超える修了生による組織を超えた女性ネットワークの形成にも効果を上げています。
  • 働く女性に贈る!お役立ちワンポイントセミナー
  • パソコン講座
  • ムーブの英会話
  • 医療事務講座
  • 介護事務講座ほか

 

③ 固定的な男女の役割分担意識の解消

【KFAW(調査・研究事業)】
男女共同参画意識の浸透のため、外部の研究者を積極的に活用して客員研究員研究を行います。また、研究報告会を開催し、『アジア女性研究』及び『KFAW調査研究報告書』を発行し、研究成果を市民のみなさんに公開します。そして、アジアジェンダー研究者によるセミナーを開催し、市民にジェンダーに関する最新の情報を提供するとともに、研究者ネットワーク活動の強化を図ります。

【KFAW(交流・研修事業)】
国際的な視点から、市民とアジア地域の人々との交流や相互理解を深めるため「アジア女性会議-北九州」や国際理解セミナーを開催します。令和2年度の「第31回アジア女性会議-北九州」は、「気候変動とジェンダー」をテーマに開催する予定です。また、2021年3月ニューヨークで開催される65回国連女性の地位委員会への参加登録の機会をKFAWの関係者等に提供します。

【KFAW(情報収集・発信事業)】
ジェンダー問題に対する理解を促進するため、情報誌『Asian Breeze』を2回発行し、またホームページ、フェイスブック、メールマガジンによる情報発信を行います。またアジア地域のジェンダー専門家、活動家を対象に通信員を募集し、ジェンダーに関する最新の情報をリポートしてもらいます。今年度は4名公募予定です。

【ムーブ】
[ムーブフェスタ2020開催]
2020年7月に約3週間にわたって「ムーブフェスタ2020」を開催します。市民の自主的な活動を支援する市民企画事業を中心に、ムーブ主催事業として講演会やイベントを開催し、男女共同参画を推進します。
[男性のエンパワーメント(家事参加促進)]
男女共同参画社会の実現には男性の理解や協力が不可欠です。男性の家事への参加を促進するため、大好評の「エプロン男子」や「介護男子」を継続して開催するなど、男性を対象にした「おとこの魅力アップシリーズ」の充実を図ります。
また、平成25年度に開設した男性のための電話相談窓口について、さらにPRに力を入れ、利用の拡大につなげます。

主な講座

  • エプロン男子
  • おとこの魅力アップシリーズ
  • 介護男子

[ムーブ相談室主催講座の開催]
ムーブ相談室では、その時々の相談内容から見えてくる課題を踏まえた講座を企画しています。女性のための法律基礎講座、男性のための法律基礎講座、女性に対する暴力ゼロ特別講座を実施します。また、福岡県弁護士会北九州部会との共催で、女性への人権侵害ホットライン、女性への暴力ゼロホットラインを設置します。
[ムーブ叢書及び情報誌の発行]
ジェンダー問題の解決に向けて、市民を対象に啓発を行う『ムーブ叢書』を発行します。2020年度は、「北九州市の男女共同参画統計データ集2020」を作成します。また情報誌『ムービング』を発行します。
[ジェンダー問題調査・研究支援事業]
ジェンダー問題の解決に向け、自主的に調査・研究する市民グループや研究者(グループ)を募集し、ジェンダーの視点での調査・研究を支援します。

【ムーブ・レディスもじ・レディスやはた】
ジェンダー問題についての講演会を開催し、男女共同参画意識を啓発する機会を提供します。また平成26年度からムーブ・レディス連携事業として開催しているレディス映画祭について、2020年度も引き続き開催します。(レディスもじ、レディスやはたは、2020年度末で廃止されました)

主な講座

  • 男女共同参画講座
  • ムーブ・レディス映画祭

 

④ 若い世代への男女共同参画意識の啓発

【KFAW(交流・研修事業)】
高校生を対象に、自己実現やジェンダー問題を考える講座を実施します。また、ユースを対象に国際的な視点でジェンダー問題への理解を深めるため、2021年3月開催の第65回国連女性の地位委員会(CSW65)への参加や、帰国報告会での発表の機会を提供します。

【ムーブ】
市内の大学生を対象に「女子学生のためのキャリア形成プログラム」を活用した講座を実施します。

参考

 

4 理事長コラム

理事長 堀内 光子
理事長 堀内 光子

誰一人取り残さない社会の実現に向けて、世界中でSDGs(持続可能な開発目標)が取り組まれています。SDGsは、2015年に国連が決めた、人類と地球が持続可能で、繁栄し、進歩するためのグローバル行動計画(2016~2030年)です。環境、経済、社会の三側面を含み、途上国も先進国も関わる地球的目標です。目標の一つに、ジェンダー平等(男女共同参画)と女性・女児のエンパワーメントがありますが、これはSDGsの17目標すべてに関わります。したがって、すべての分野でジェンダーの視点を含む「ジェンダーの主流化」を行わなければなりません。

第63回国連女性の地位委員会(2019年)のテーマは、「社会保護(保障)制度、公共サービスへのアクセス、持続可能なインフラとジェンダー平等や女性・少女のエンパワーメント」でした。これらの社会保護(保障)制度や公共サービス、インフラはジェンダー平等とどのような関係があるのでしょうか。

社会保護(保障)とは、貧困の予防や削減、及び生涯に起こりうる人々の脆弱性、つまり生活へのリスクの低下・予防を目的とした政策・プログラムです。弱い立場にいる人々(女性が圧倒的に多いのですが)にとって、手頃で質の高い公共サービスが受けられているでしょうか。女性は、男性と比べ働いている人の割合が低く、しかも多くの女性は保障や保護のない、もしくは少ないインフォ-マルセクター(非公式部門)で働いています。まさにジェンダーによる格差があるのです。

インフラについても、例えば、途上国で少女が学校に安全に通えるような道路ができているでしょうか。清潔で安全な水が近くにあるでしょうか。水汲みの役割は、女性や少女が多くを担っています。

さまざまな場でジェンダーの違いを確認し、格差をなくすことが、SDGsの前進に不可欠です。このための、市民の方々の活動は重要です。2030年(SDGs目標年)に向けて、目標が達成できるよう、みんなで力を合わせて活動していきましょう。

 

5 日本政府・北九州市の取り組み(参考)

SDGs 実施指針
日本政府が令和元年12月に改訂したSDGs実施指針改定版では、日本の持続可能性は世界の持続可能性と密接不可分であることを前提とし、国内実施、国際協力の両面において、誰一人取り残されることのない持続可能な世界に変革することを目指すことがビジョンとしてうたわれました。日本として特に注力すべきものとして8つの優先課題が掲げられ、第1番目の課題には「あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現」が記載されました。ジェンダー平等は、他のすべての課題の取り組みにおいても主流化する必要のある分野横断的課題として取り組みを推進していく必要があることが改めて確認されました。

 

北九州市の取り組み
KFAWが所在する北九州市は、2018年に日本政府より「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」に選定され、「真の豊かさ」にあふれ、世界に貢献し、信頼される「グリーン成長都市」をビジョンに掲げ、SDGsを積極的に推進しています。

また、同年OECD(経済協力開発機構)より、アジア地域で初めて「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」に選定されました。

  • 北九州市SDGs未来都市パンフレット
    https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000817411.pdf
    ジェンダー平等に関する取り組みとしては、「北九州市男女共同参画社会の形成の推進に関する条例」に基づき、「第4次北九州市男女共同参画基本計画」を策定し、男女の人権が尊重され、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮し、社会のあらゆる分野に共に参画し、共に喜びと責任を分かち合うことができる社会の実現を目指しています。計画の柱は、方針決定過程への女性の参画拡大、女性の就業支援や企業での女性活躍の推進、ワークライフバランスの推進、男女共同参画意識の浸透、そして女性に対する暴力の根絶です。
  • 第4次北九州市男女共同参画基本計画について
    https://www.city.kitakyushu.lg.jp/soumu/12001140.html

 

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