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スタディツアー

KFAWスタディツアー「フィリピンで学ぶ国際協力2013」(2014年2月23日~3月2日)

1.期間 2014年2月23日(日)~3月2日(日)
2.場所 フィリピン(マニラ首都圏、オロンガポ市、サンバレス州)
3.プログラム 2月23日  福岡発マニラへ
2月24日  プレダ基金訪問
2月25日  先住民アエタ族MAOコミュニティ訪問/ホームステイ
2月26日  MAOコミュニティにて給食ボランティア
2月27日  フェアトレード団体訪問
        ミリアム大学 女性・ジェンダー研究所訪問
2月28日  司法省調査局・暴力被害女性センター訪問
        ナボタス市のスラム街訪問
3月1日   DAWN訪問
3月2日   マニラ発福岡へ
4.参加者 13名

   このたび、2014年2月23日から3月2日にかけて、「フィリピンで学ぶ国際協力」と題し、フィリピンの貧困やジェンダー問題、国際協力について学ぶスタディツアーを実施しました。北九州市内を中心に参加者を募集した結果、13名の方々にご参加いただきました。年齢、性別、職業もさまざまで、ツアーを通してたくさんの体験をし、また、知識を共有することができたのではないかと思います。 参加者の1人である、岩男真由美さんに次のとおりレポートしていただきました。


フィリピン訪問記(岩男真由美)

プレダ基金

少年の家  フィリピン到着後、マニラからバスに揺られること3時間、オロンガポ市のプレダ基金というNGOに到着しました。その後、フィリピン庶民の足である乗り合いバス(ジプニー)に乗り、プレダ基金が運営している少年の家へ。ガタガタ道で、なんだか馬車にでも揺られているような気分です。

 少年の家では、ソーシャルワーカーが刑務所から子ども達を救い出し、必要なサポートや教育を行っています。これらの子ども達は、性的搾取、あるいは親から虐待を受け放置された子ども達で、ストリートチルドレンとなったり、生き抜くために盗みを働いたりして大人の刑務所へ送られてしまった子ども達なのです。当然、そこでも他の囚人によって虐待を受けています。こうした子ども達は加害者ではなく、社会構造の被害者なのだと、まずは認識する必要があります。

プレダ基金 オリエンテーションの後、実際に少年達がサポートプログラムを受講している教室を見学させていただきました。最初に通されたのは通称「黄色い壁の部屋」。柔らかい素材で出来た壁を蹴ったり殴ったりすることで、行き場のない怒りや悲しみ、さまざまな感情をぶつけるそうです。少年たちは開放的な施設で共同生活を送っています。冗談を言い合う姿は本当の兄弟のようです。少年達との交流会の後、彼らが自分たちで育てている作物や動物達を見せてくれました。

 次に少女の家を訪問し、プレダ基金によって保護された少女たちとの交流会や彼女たちが受けた過酷な体験を基にした劇を鑑賞しました。余りの壮絶なドラマに最初は言葉を失い、実の両親や親戚による虐待や人身売買の被害者であった少女たちが、このようなリアルな内容の劇に接し、大丈夫なのだろうか、という疑問が沸きました。被害者である彼女たちが、自身の過去と向き合うことが耐えがたいことのように思えたからです。日本国内でも両親による虐待を受け苦しむ子ども達が数多く報告されています。何もフィリピンに限ったことではなく、日本でも救われるべき子ども達はいるのです。世界中、似たような問題に直面しているのかもしれません。プレダ基金で必要なサポートやプログラムを受けることで、これらの少年少女達は過去と向き合い、自分の感情をコントロールする術を学び、未来を見つめていくのでしょう。

 


 先住民アエタ族MAOコミュニティ

アエタ族MAOコミュニティ  翌朝、再びジプニーに乗って、市場へ向かいました。グループに分かれ、購入したのはサヨーテなどの野菜やお米、お菓子、飲み物などです。これから滞在することになる先住民アエタ族に配られます。ついにアエタ族のコミュニティに1泊するのです!何だかワクワクしませんか?午後、アエタ族についてのオリエンテーションを受けました。その後、みんなで自己紹介。私はタガログ語で「私はMayumiです」と言ってみました。もっと現地語を勉強しておけば良かったと後悔。この後、ホストファミリーとして集まっていた人びとと会話を交わす機会がありました。この時点では、誰が自分のホストファミリーなのか知らなかったのですが、一人、可愛い女の子がいたので声をかけてみました。最初は恥ずかしがっていましたが、彼女の方から手を握ってくれました。更に驚いたことに、私の宿泊先はこの女の子の家でした。彼女の名はセシル。3歳です。

 ファミリーとの顔合わせの後、自宅へ案内されました。「竹のベッドでゆっくり休んで下さい」と言われたのですが、荷物を置いたあとすぐにベッドから降りてみました。折角なのでもっとホストファミリーと交流したかったのです。子ども達も日本からやってきた私に、とっても興味津々の様子で、竹の二段ベッドの下からこちらを覗いていました。下へ降りるとホストブラザーのエドモンドが夕食の準備をしていました。彼の手さばきに思わずうっとり。これなら母であるホストマザーのリタさんも安心して任せられる筈です。リタさんはローカルの言葉を話し、2人の娘さんが英語に通訳してくれました。アエタ族MAOコミュニティ2「子犬が生まれたの。見る?」という娘さんに、庭や畑、家畜の豚やペット、ポンプ式井戸を見せていただいたあと、リタさんたちとテレビを見ながらおしゃべりしました。まったり過ごす時間は最高でした。日本では皆忙しすぎて、家族が集う時間が少ない気がします。エドモンドが調理してくれた夕食は、ご飯、2種類の異なる調理方法のチキン、野菜の煮物、フィリピン伝統のスープ、マンゴーです。心がこもった最高のおもてなし料理でした。

 夜8時には村人みんなが集まって、パーティーナイト!村に電気は通っているものの、ネオンが一切ないので、懐中電灯を照らしながら夜道を歩きました。夜空に輝く星のなんと綺麗なこと!私達の為に、伝統的なダンスを踊って頂き感動的でした。お返しに私達が歌ったのは、海外では「すき焼きソング」としてお馴染の「上を向いて歩こう」です。文化交流がお互いの絆を深めたことは言うまでもありません。

 

フェアトレード団体

フェアトレードについてのオリエンテーションの様子 27日にはフェアトレード団体SAFURDIを訪問しました。幸運にも、各地域の生産者の方々がちょうど訪問しているとのことで、交流させて頂く機会を得ました。先進国による途上国からの一方的な搾取を失くし、公正に貿易をしようという目的で設立された団体です。フェアトレードは、1960年代にヨーロッパで始まったそうですが、近年では米国やオーストラリア、カナダ、そして日本の団体が熱心に取り組んでいます。オリエンテーションを受けた後は、実際に先進国の市場に出回っているフェアトレード製品を見学し、フィリピン国内で売られている商品の中から、私はバナナチップと文房具品をお土産に購入しました。

 


ミリアム大学ジェンダー研究所

 午後はミリアム大学を訪問しました。この大学内にある女性・ジェンダー研究所で、女性学についての講義を受けました。女性の地位向上に関して、日本はとにかく遅れをとっています。「日本には女性の政治家が少ない」「女性の就業率が低い」「結婚して子どもを産んだら、日本の女性は正社員として元の職場に戻りにくい」など、悪い例として日本が挙がるのはとても残念です。男女格差が少ないことを意味するグローバル・ジェンダー・ギャップ指数がアジアで最も高いのはフィリピン(世界5位)です。世界105位の日本が学ぶことは山ほどありそうです。

 

ナボタス市のスラム街

ナボタス市のスラム街 滞在6日目はナボタス市のスラム街を訪問し、蒸したもち米とバナナの路上販売を体験しました。勧められて私も試食。うーん、庶民の味といった感じです。わずか数時間の滞在でしたが、暖かく迎え入れていただきました。

 

最後に

 この旅で再会を果たした23年来のフィリピンの友人の言葉を紹介して筆を置きます。「あなたが居るから日本をずっと覚えている」友人がいるから傍観者ではいられない。そんなフィリピンと今後も関わり続けたいと改めて誓ったスタディツアーでした。



その他の参加者からの意見/感想

  • 1週間のうちに、世界的な社会問題についてスタンダードな情報を得ることができ、国際協力について考えるスタート地点に立つ、良い機会になりました。
  • 個人旅行では行けないような場所を訪問することができ、旅行では気づけないフィリピンの現状をみることができました。
  • 実際に子どもたちや現地の人と交流する機会が多く、フィリピンという存在がリアルになりました。観光客という「豊かなヨソ者」ではなく、同じ仲間、友達のように迎え入れてくれてたことがとても嬉しかったです。